ABS樹脂の静電気によるトラブルをめっきで解決!加飾性・機能性の向上を実現します

abs樹脂 静電気 静電気イメージ

ABS樹脂の静電気を除去する方法を解説

ABS樹脂の静電気について、発生する原因や除去方法について解説いたします。

ABS樹脂は優れた加工性や物性を持った樹脂で、自動車部品から家電製品、玩具等、様々な用途で広く使われている汎用樹脂です。一方で、ABS樹脂は表面で静電気が発生しやすい性質があります。

静電気とは、プラスとマイナスの電荷のバランスが崩れている状態(帯電)で、二つの物体が接触と剥離することによって発生します。冬場、乾燥した場所でセーターを脱ぐと「パチパチ」とした音が鳴ることがあります。これは衣服同士がこすれ、剥離したことによって静電気が発生した現象です。このように静電気は身近な現象といえるでしょう。

静電気は様々な物質で発生し、小さな不快感から重大な安全リスクまで、幅広い問題を引き起こす原因となります。人が触れる瞬間に発生する静電気は製品の使用時に不快感を与え、埃を嫌う半導体デバイスのような製品では損傷の原因になる場合もあります。更に工場によっては静電気によって爆発や火災の原因になることもあります。

ABS樹脂はマイナスに帯電しやすい素材であるため、製造現場や用途に応じて静電気の対策に取り組む必要があります。

今回は、ABS樹脂の基本的な特徴と特性、そして静電気問題を解決するための方法を紹介します。ABS樹脂の静電気対策をご検討されていましたら、ぜひご参考ください。

ABS樹脂について(特徴・特性・用途)

ABS樹脂はアクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの3つの成分で構成された汎用樹脂です。日用品をはじめ、電子機器や自動車の部品など様々な用途で使われており、非常に身近な樹脂のひとつといえます。

abs樹脂 静電気 abs樹脂イメージ

ABS樹脂そのものの見た目は不透明で、塗装やめっきなどの表面への加工性にも優れていることから、美観が求められる製品でも使用されています。

デメリットとしては紫外線に弱く、長時間晒されると劣化するため、そのままの状態では耐候性は劣ります。

様々な特徴を持つABS樹脂ですが「絶縁体」である点も大きな特徴として挙げられます。絶縁体とは電気を通さない性質であるため、摩擦などによって帯電し、静電気が発生しやすい素材であり、ABS樹脂に限らず多くの樹脂が該当します。

製品によっては静電気が発生すると製品の品質に悪影響を及ぼすだけでなく、安全性のリスクも伴うため、使用する際には注意が必要です。特に電子機器では、静電気による誤動作や損傷が懸念されるため、静電気の対策は重要といえるでしょう。

ABS樹脂の静電気を除去する方法【帯電防止】

ABS樹脂の静電気を除去するには、どのような方法があるのでしょうか。

静電気を除去し、防ぐ方法として一般的に以下の方法が挙げられます。

  • 乾燥する時期は湿度を上げる
  • 接地(アース)
  • 静電気に弱い製品を扱う場合には、導電性のある作業服や靴などを着用して帯電を防ぐ
  • 放電マットやイオナイザー等、静電グッズを使用する 等

上記の方法の他、絶縁体(ABS樹脂の部位品や製品など)への導電性の付与も帯電防止の方法として挙げられます。以下にて一部の対策をご紹介しましょう。

導電性のある樹脂を使用

ひとつめは帯電性や導電性のある樹脂を使用することです。金属フィラーが添加された樹脂など、帯電性或いは導電性を持つ樹脂素材に変更することで、静電気対策になります。

しかし、加工する形状などによっては反りが起こるほか、寸法安定性や吸水率など樹脂によって特性が異なるため、材質の選定には注意が必要です。

また、ローラーなど強度が求められる場合には、樹脂そのものだと耐えられない可能性があるため、用途にも適した樹脂の選定や、樹脂の表面処理(めっき)を検討すると良いでしょう。

導電性塗料

導電性塗料の使用も、静電気対策(帯電防止)のひとつです。ABS樹脂製品に塗布するだけで導電性が得られるため、帯電を防ぐことができます。メーカーによって様々な色や機能性の導電性塗料が販売されていますので、選択肢が多い点も魅力です。

手軽さが最大のメリットではありますが、膜厚のムラによって表面抵抗の均一性がばらつきやすいほか、製品によっては強度に劣る場合があります。更に塗装時には適切な環境を整える必要がある点がデメリットとして挙げられます。

めっき

めっきはABS樹脂の表面を金属で覆うことによって導電化できる方法です。絶縁体に加工するため、無電解めっきにて処理をします。

abs樹脂 静電気 めっきイメージ

無電解めっきはめっき液中で起こる還元反応を利用した方法で、ムラなく均一な膜厚でABS樹脂の表面に金属膜を形成します。非常に薄い膜厚で高い導電性が得られるため、寸法精度が求められる部品にも適しています。

静電気対策としてだけでなく、めっきをつける金属によって耐食性や耐摩耗性、電磁波シールドなど様々な機能を付与できる点も大きなメリットです。

ABS樹脂へのめっきについて、こちらの記事でも紹介しています。ぜひご覧ください。

【ABS樹脂のめっき】製品の軽量化とコスト削減を実現する技術を塚田理研が解説

塚田理研はABS樹脂の静電気問題をめっきで解決します

塚田理研は樹脂専門のめっきメーカーであり、ABS樹脂の静電気問題をめっきにて解決いたします。

静電気対策としてのめっきは、産業機器やクシなどの製品で多数実績がございます。

●ABS樹脂に静電気対策を施した事例

abs樹脂 静電気 めっき加工したクシ

特殊表面加工「JP CHROME-TECH®加工」を施し、驚くほど滑らかな表面加工をいたしました。本物の金属だからこそ得られる美観と機能性を両立させ、ブラッシングによる髪のダメージや、静電気による髪の広がりを抑えます。

当社は樹脂めっきに特化しためっきメーカーとして、ABS樹脂はもちろん、エンプラやスーパーエンプラなどの難めっき材と呼ばれる樹脂へのめっきにも対応しております。

めっきによって、金属と変わらない機能(帯電防止・耐摩耗性・耐食性・電磁波シールド・耐薬品性等)を樹脂製品に付加でき、製品の軽量化や静電気問題への対応など多様なニーズに応えることができます。

3Dプリンター造形品へのめっきのご相談にも対応しておりますので、3Dプリンター造形品の加飾性・機能性の付与も可能です。用途やご要望をお伺いし、最適なめっきをご提案いたします。

ABS樹脂製品の静電気対策をはじめ、樹脂製の部品や製品への機能性の付与に関して課題がありましたら、ぜひお問い合わせください。

樹脂(ABS樹脂等)の静電気でお困りでしたら当社までご相談ください

樹脂(ABS樹脂等)の静電気によるトラブルで課題がありましたら、塚田理研までご相談ください。

当社はプラスチック専門のめっきメーカーで、めっき技術のほか塗装にも対応しており、プラスチックの表面処理について幅広くご相談頂けます。

今回のコラムではABS樹脂製品で発生する静電気について、発生する理由や除去する方法についてご紹介しました。除去する方法は、製品や使用環境によって、適切な方法を選択すると良いでしょう。

帯電防止策として数多くの除去方法がありますが、めっきもそのうちのひとつです。

ABS樹脂にめっきをつけることで静電気を防ぐほか、耐食性や耐摩耗性などの機能性を付与できます。

用途に応じて最適なめっきをご提案いたしますので、ABS樹脂をはじめ、樹脂の静電気でお困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。

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