【電磁波の遮断】素材やシールド方法(選択肢)について解説します

電磁波 遮断 素材 筐体

電磁波を遮断する素材とは?

電磁波を遮断する素材について解説します。

電磁波とは、空気の中を伝搬する波動エネルギーの事です。波動エネルギーは波長によって赤外線や紫外線など様々な種類がありますが、ここでは電子機器から発せられる電波について取り上げています。

電子機器を使用した際に発生する電磁波(電波)の中には、機器の誤動作などを引き起こす原因となる「不要な信号」が含まれています。この不要な信号が「電磁波ノイズ」です。

電磁波ノイズによる誤動作は、時に重大な事故を引き起こす原因となるため、機器が影響をうけないように対策をする必要があります。この対策のことを「電磁波ノイズ対策(EMC)」といいます。

どのような素材が電磁波を遮断するのに適しているか、その答えは「金属そのもの」です。

金属には内部に電気伝導性を持つ自由電子があり、金属の表面に電磁波が当たると電場によって自由電子が振動し、新しい電磁波(反射波)を形成し、逆方向へと反射します。このような働きがあるため、金属は遮断する素材として適していると言えるのです。

しかし金属は重量があり、場合によっては高コストとなることもあります。そのため、電磁波ノイズの対策として使用する素材は金属そのものではなく、軽量なプラスチックを基材とし、金属を組み込んだ素材をシールド材として利用することが一般的です。

電磁波ノイズ対策の動向について

電磁波ノイズ対策の動向についてご紹介します。

電磁波 遮断 素材 EV車

2022年における電磁波シールドのグローバル市場は、70億米ドルに達しました。工業化が急ピッチで進んでいるほか、家電製品にも使用されている技術である点が成長を支えているとされており、今後も電子機器やIT業界、自動車、防衛、航空宇宙など、様々な分野において需要の拡大が考えられています。
このことから、電磁波シールドの分野は今後も引き続き成長が見込まれています。

近年、5G通信や電気自動車(EV)のような技術革新が進み、高周波数帯の利用が増加しています。これに伴い、電磁波に関する課題も多様化しており、様々な課題に対応できる技術や対策が求められています。

最新技術に対応できるシールド素材やシールド方法の開発に多くの企業が注力しており、現在では様々なシールド素材が開発されています。電磁波の遮断の選択肢は多岐にわたるため、製品に適用する際には、用途や条件に最適なシールド素材や方法を選択することが重要です。

電磁波を遮断する方法(選択肢)について

電磁波を遮断する方法(シールド材)についてご紹介します。

これまで、電磁波を遮断する素材として最も適しているものは金属であることを解説しました。しかし、金属は重量があるため、適していません。多くの製品では、軽くて安価なプラスチックを基材にしたシールド材の使用や、プラスチック素材へのめっきなどの方法がとられています。

これまでも紹介したように、現在非常に多くのシールド材が開発されており、使用する部品や用途に適した方法や素材を選択します。

ここでは、代表的なシールド材(素材)・方法として以下をご紹介します。

  • 電磁波シールドめっき
  • 導電性塗料
  • 電磁波シールドフィルム
  • 導電性繊維

※ここでは各シールド材(素材・方法)の概要をご紹介しております。各メーカーによって商品の特徴や用途などが異なります。詳しくは各メーカーにお問い合わせください。

電磁波シールドめっき

電磁波シールドめっきは、電磁波を遮断する完成された方法として広く知られています。

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プラスチックの表面に無電解めっきで金属の皮膜を形成し、金属と同等の機能性(電磁波シールド、耐摩耗性、耐食性、耐熱性)を付与する事ができます。

プラスチックにめっき(無電解銅1μm+無電解ニッケルめっき0.25μm)をすることで、3mm程度のアルミ板と同等のシールド効果が得られます。
(※ポリカーボネートに加工した場合)

低周波から高周波の電磁波ノイズにも高い遮断効果が得られることから、様々な電子機器で採用されています。

以下のページでは電磁波シールドめっきを詳しくご紹介しています。是非ご覧ください。

機能めっきについて

無電解めっきのため、複雑な形状でも均一な膜厚でめっきをつけることができ、高精度な加工にも適している点も大きな特徴と言えるでしょう。

電磁波 遮断 素材 加工事例

自動車内部部品など、高温な環境や耐摩耗性が要求される用途の場合、めっきされているとはいえ、汎用プラスチックでは耐久性に限界があります。そのため、こうした用途が想定される場合には、高機能性を持つプラスチック(エンプラ、スーパーエンプラ)などの特殊素材を使用します。

しかしながら、エンプラやスーパーエンプラは、通常のめっきプロセスでは加工が困難な素材であるため、加工できるめっき会社は限定されます。

塚田理研では、エンプラやスーパーエンプラ等の特殊な素材へのめっき加工にも対応しております。ご相談やご質問がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

導電性塗料

導電性塗料は塗料に金属の粉末(フィラー)を混ぜあわせた塗料の事です。その名の通り、導電性がある塗料のため、電磁波ノイズの遮断が可能です。

筆で塗るタイプやスプレータイプも販売されており、手軽に遮断できるだけでなく、めっきと比較して安価である点がメリットといえるでしょう。

一方、塗料なので、耐摩耗性や耐熱性などが求められるような用途には不向きである点がデメリットとして挙げられます。

こちらのコラムでは電磁波を遮断する導電性塗料とめっきの違いについて詳しく解説しています。是非こちらもご覧ください。

電磁波の遮断は塗料かめっきか?シールド方法の違いについて塚田理研が解説

電磁波シールドフィルム

電磁波シールドフィルムは、金属の粉末などを分散させた導電性のあるフィルム(シート)のことです。スマートフォンの半導体デバイスなどの電磁波対策として使われています。

一般的な特徴としては、凹凸のある加工品に対しても、圧着をさせるのでしっかりとカバーできる点が挙げられます。また、部品に追加する形で加工をするため、元々の部品の設計を変更する必要もありません。曲げにも強い点もメリットのひとつです。

一方、塗料と同様、過酷な環境での使用には適していません。

こちらのコラムでは、電磁波シールド素材であるフィルムとめっきの違いについて紹介しておりますので、こちらもご覧ください。

【電磁波の遮断】フィルムとめっきの特徴や違いについて塚田理研が解説します

導電性繊維

導電性繊維とは、繊維素材に導電性のある金属(チタン、金、銀、銅等)をコーティングしたものを指します。コーティングされる繊維(素材)はナイロンやウール、綿などが挙げられ、強度、柔軟性、断熱性などの多くの利点とも言える特徴があります。

繊維から作られた布は、普通の布と同じ扱いができ、遮断したい対象物を包むだけでシールド効果が得られます。航空宇宙用の繊維として、また通気性や透視性を求める場合に最適な金属メッシュの製造の素材として使用されています。

使用されている市場も幅広く、医療やスポーツ、防衛など、様々な分野で活用されています。

※当社、塚田理研は繊維へのめっき加工にも対応しております。詳細につきましてはお問い合わせください。

当社の電磁波シールドめっきの実績について

当社の電磁波シールドめっきの実績についてご紹介します。

当社はプラスチックめっきを専門としている表面処理メーカーで、加飾めっきをはじめ、電磁波シールドをはじめ、様々な用途に対応できる機能めっきを提供しております。

電磁波を遮断するめっきでは、自動車をはじめ、医療分野、精密機器など様々な部品で実績が多数ございます。

電磁波 遮断 素材 加工事例
(事例)消防自動車に搭載するポリカーボネートへのめっき事例

電磁波 遮断 素材 加工事例
(事例)医療機器へのシールドめっき(片面)

筐体等への加工の他、繊維へのめっき加工(導電性繊維)も実績がございます。

また、当社では金型の製造、射出成形、めっき・塗装、組立までの一貫生産体制も整えており、業務負担の軽減も可能です。掲載以外の事例や、一貫生産につきまして詳しくはお問い合わせください。

電磁波の遮断に関するご相談は塚田理研までお問い合わせください

電磁波の遮断に関する課題がありましたら、当社塚田理研にお任せください。

電磁波 遮断 素材 社屋

今回は電磁波を遮断する素材や、金属の遮断の仕組みについて解説し、遮断に用いられているシールド材(素材)や技術についてご紹介しました。

冒頭でも触れた通り、電子機器の進化・普及と同時に、周波数帯は高周波へと移り変わってきています。発生した電磁波ノイズは機器間で干渉し、トラブルの原因となるため、高周波にも対応できる電磁波対策が求められています。

現在、シールド方法には様々な選択肢があり、それぞれに特徴がありますので、遮断したい部品や用途に適した方法や素材を選択する事が重要です。

当社は専門の技術部隊がおり、遮断したい電磁波の種類や製品(部品)に最適な方法、品質、コストなど、お客様のご要望に応じた最適な遮断方法をご提案いたします。電磁波の遮断だけでなく、部品の軽量化(プラスチック化)、環境負荷軽減(クロム酸フリーめっき工法)など、表面処理に関する幅広いご相談も承ります。

ご相談につきましては、下記の窓口までお問い合わせください。

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