無電解ニッケルめっきのリンとの合金の特性や設計時の注意点を解説

無電解ニッケルめっきのリンとの合金タイプの特徴について

無電解ニッケルめっき(リンとの合金タイプ)は、還元剤(次亜リン酸塩)による化学的反応によってニッケル皮膜を析出させる無電解めっきのひとつです。

通常無電解ニッケルめっきというと、このニッケル-リンの事を指し、工業目的では最も多く使われているスタンダードな種類です。

無電解ニッケルめっき リン

無電解ニッケルめっき(ニッケル-リン)は、皮膜にリン(P)が含まれている合金で、主に以下の特徴があります。

■特徴
・耐食性、硬度、耐摩耗性、耐薬品性に優れている
・均一な膜厚
・絶縁体(プラスチック、セラミック、ガラス等)にもめっきできる
・ピンホールが少ない
・はんだ付けが可能
・リンの含有率によって皮膜特性が異なる

当社が取り扱っているプラスチックめっきでは、電気めっきの下地を目的(導電性の付与)として、また加飾性や機能性の付与を目的として使用されています。

無電解ニッケルめっき(ニッケル-リン)は数多くのメリットがあるので、製品の軽量化や性能性の向上、そしてコスト削減を目的とした金属部品の樹脂化(プラスチック素材への置き替え)としても活用されています。

以下のコラムでも無電解ニッケルめっきの特徴を詳しくご紹介しています。是非ご覧ください。

無電解ニッケルめっきの特徴についてはこちら

無電解ニッケルめっきの用途

無電解ニッケルめっきの用途は多岐にわたり、非常に多くの産業で使われています。

例として一部の用途を挙げると、自動車部品や電子部品、医療機器、HDD基板や精密機器、航空など、幅広い分野で用いられています。

無電解ニッケルめっき リン

プラスチックめっきでも、加飾目的では自動車の車内外装、水洗金具、家電など幅広い分野で使用されています。

機能性の付与を目的とした場合だと、EV車やハイブリット車の軽量化や性能向上を目的とした金属部品の樹脂化、また航空宇宙、精密機器などでは電磁波対策(電磁波シールド)などの用途として使われています。

無電解ニッケルーリンめっきのタイプ(低リン・中リン・高リン)

無電解ニッケル-リンめっきには3つのタイプがあり、それぞれのタイプに特性があります。

低リン 中リン 高リン
リン含有率 ~4% 5~10% 11~13%
耐食性
耐アルカリ性
耐摩耗性
硬度(Hv)
※熱処理前
700 550 500
はんだ付け性
磁性
※熱処理前
磁性 非磁性 非磁性
結晶構造 結晶質 結晶質~非晶質
(アモルファス)
非晶質
(アモルファス)

※上記のタイプの他にも中低リン、中高リンタイプがありますが、ここではわかりやすく3つのタイプについてご紹介しています。

リンの含有率によって結晶構造が変化するため、上記のようにタイプによって特性が異なります。

また、タイプによってめっき浴層も異なり、析出速度や液寿命も異なります。

(一般的には、析出速度が早い点、そして扱いやすさという点で中リンタイプが多く選ばれています。)

このようにタイプによって特性の違いがあるほか、タイプによってめっき浴層や析出速度も異なるため、コストも違いがあります。

リンの含有率(タイプ)によって、このような違いがあるため、製品に求める条件に最適なタイプを選択する事が重要です。

リン以外の無電解ニッケルめっきの種類

リン以外の無電解ニッケルめっきとして、以下の種類もあります。

■その他の無電解ニッケルめっきの種類
・無電解ニッケル-ホウ素めっき
・複合めっき
・多元合金めっき

ホウ素タイプは、ニッケル皮膜にホウ素が含まれているタイプです。

純度の高いニッケルめっきに近い特性があり、クロムと同じくらいの硬度がある点が特徴です。

はんだ付け性や耐変色性が良い等、様々な点で優れているタイプですが、めっき液の管理が難しく、高コストのため、多くの場合ニッケル-リンが選ばれています。

また、その他の無電解ニッケルめっきとして、粒子を共析させ、機能を付与する複合めっきや、他の金属と析出させる多元合金めっきなどの種類もあります。

無電解ニッケルめっきの種類についてご不明な点がありましたら、当社の営業スタッフが丁寧に製品の用途等をお伺いし、最適な無電解ニッケルめっきの種類をご提案いたします。

お気軽にご相談ください。

無電解ニッケル-リンめっきの設計時の注意点やポイント

無電解ニッケルめっきをはじめとした、プラスチックめっきの使用を検討する際、設計時にご注意いただきたいポイントをご紹介します。

無電解ニッケルめっきをはじめ、無電解めっきは化学的還元作用にてめっきするため、膜厚にムラなく均一にめっきできる特徴があります。

しかし特定の要点を考慮し、設計することで、大量生産の際の外観性を高めるとともに、めっきの不具合を減少させ、コストを抑えることができるケースがあります。

設計の際にはぜひ以下の「避けるべき形状」と「推奨の形状」をご覧ください。

※プラスチックめっきの場合となります。

無電解ニッケルめっき リン 設計のポイント

成形品をご支給される場合には、プラスチックめっきメーカーが推奨する成形条件のご確認をされることをおすすめいたします。

量産時には、同じ製品でも部位によって密着度が変わることがあります。

そのため、量産を考慮する際は、金型の設計や構造の見直しが重要です。

製品の樹脂化やプラスチックへの無電解ニッケル-リンめっきのご相談は塚田理研まで!

製品の樹脂化や、プラスチックへのめっきで課題がありましたら塚田理研までご相談ください。

今回のコラムでは無電解ニッケルめっき(ニッケル-リン)の特性、その他の無電解ニッケルめっきの種類、そして設計時の要点について詳しく解説してきました。

無電解ニッケルめっきは、均一な皮膜形成や高い耐食性、さらにリンの含有率による特性によって、多岐にわたる産業分野で活用されている技術です。

特にプラスチックめっきにおける無電解ニッケルめっきは、金属部品の樹脂化によって、製品の軽量化と性能の向上、コストの低下を目的として、自動車産業をはじめ、様々な分野で需要が拡大しています。

無電解ニッケルめっき リン 製品

塚田理研はプラスチックめっきのリーディングカンパニーとして、長年培ってきた経験と知識、そして日々の研究開発の取り組みによって、お客様の多様なご要望にお応えしてまいりました。

金属部品の樹脂化や新しい製品開発、製品の改善をお考えの際、プラスチックめっきの採用をご検討されるなら、ぜひ塚田理研にご相談ください。

お客様のモノづくりのパートナーとして塚田理研がしっかりとサポートし、巧みなめっき技術と最先端の品質管理システムによって、高品質なめっき技術を提供いたします。

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