三価クロムめっきとは
三価クロムめっきとはクロムめっきの一種で、三価クロムを主成分とした技術です。
従来の六価クロムを使用するクロムめっきと比べて、作業者への毒性が低く、環境負荷も少ないことから、三価クロムめっきとは環境にやさしい次世代のめっき技術として注目されています。
環境への関心が世界的に高まるなか、モノづくりの分野においても低環境負荷な技術の開発・提供が求められています。
塚田理研では、作業者はもちろん、環境に影響を与えない設備や技術の研究開発に取り組んでおり、三価クロムめっきにつきましても対応しています。また、表層のめっきに留まらず、前処理においても六価クロムフリー工法によるめっき処理のご依頼にも対応しております。
今回のコラムでは、低環境負荷なめっき・三価クロムめっきとはどのような技術なのか、ということについて詳しくご紹介します。モノづくりのご参考にご覧ください。
三価クロムめっきの材質(皮膜成分)
三価クロムめっきとは、金属クロムを皮膜の主成分としており、他には酸素、炭素、硫黄などの成分で構成されています。
三価クロムめっきとは、その用途や見た目(色)に応じてさまざまな種類があり、種類によって皮膜成分の割合が異なります。
また、三価クロムめっきとは工程において三価クロムを使用するものの、処理の過程によって金属クロムに還元され、結果として最終的な皮膜に三価クロムは析出されません。
(六価クロムを使用する場合も同様に、最終製品に六価クロムは析出されません)
三価クロムめっきの工程(プラスチックめっきの場合)
三価クロムめっきとはどのような工程で処理をされるのか、ご関心をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
当社で提供しているプラスチックめっきの場合、基本的な工程は以下の通りです。
●プラスチックへの三価クロムめっきの工程
1.前処理 | |
(1)脱脂 | 基材の汚れを取り除きます。 |
(2)エッチング | 密着性を得るため、基材の表面を粗化し、凹凸をつけます。 |
(3)中和 | 次工程のため、中和処理を行い、中性にします。 |
(4)触媒の付与、活性化 | 化学反応を促進させるため、触媒(Pd)を付与し、活性化させます。 |
(5)無電解ニッケルめっき | 下地として無電解ニッケルめっきを施します。 |
2.ストライクめっき | |
3.光沢硫酸銅めっき | |
4.電解ニッケルめっき | |
5.三価クロムめっき | |
6.乾燥 |
※各工程間では水洗を行います。
※めっきは処理する基材によって工程が異なるため、金属への処理の場合は上記と異なります。
三価クロムめっきの色の種類
三価クロムめっきとは、従来の六価クロムめっきと比べて黒みがかったものや、やや黄色味を帯びたシルバーなど、さまざまな色があります。色合いは使用する薬品や工程の違いにより異なるため、加工するメーカーによって仕上がりに差がある場合もあります。
三価クロムめっきとは一般的に装飾目的で施されることが多いため、製品によっては色味を重要視するケースもあります。色味は上述の通り、メーカーによって異なるため、外観品質を要求する場合には予めメーカーに確認をすると安心でしょう。
当社の場合は、白色、黒色(3色)を提供しており、表面の質感やイオンプレーティングや塗装による多彩な色の表現も可能です。(詳細は後述)
3価クロムめっきのメリットとデメリット
三価クロムめっきとは、環境への負荷が少なく、従来の六価クロムめっきの代替として注目されている技術です。数多くのメリットがあることは前述の通りですが、採用する場合にはデメリットにおいても理解を深めておくことも大切です。
●三価クロムめっきのメリットとデメリット
メリット |
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デメリット |
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また、前述の通り、メーカーによって使用する薬品が異なるため、色味に違いがある場合もあります。
上記のようなデメリットはあるものの、三価クロムめっきとは環境への対応が求められる現代において、充分に実用的な代替技術として有効です。
三価クロムめっきと六価クロムめっきの違い
三価クロムめっきと六価クロムめっきは両方とも金属クロムを析出するめっきですが、どのような点に違いがあるのでしょうか。
それでは、従来技術と三価クロムめっきとはどのような点が異なるのか、以下の表でご紹介しましょう。
●三価、六価クロムめっきの違い(プラスチックへの処理の場合)
三価クロムめっき | 六価クロムめっき | |
色 | 黄みがかった、または黒みがかったシルバー | 青白いシルバー |
耐食性 | 〇 | ◎ |
析出速度 | 遅い | 速い |
結晶構造 | 非晶性 | 結晶性 |
厚付け | 不可 | 可 |
用途 | 装飾性の付与 | 装飾性の付与 機能の付与 |
クロムめっき(六価・三価)の違いに関する詳細は、以下のコラムでもご紹介しています。ぜひご覧ください。
六価クロムと三価クロムの違い、まためっきの仕上がりの違いについて>>
6価・3価クロムめっきとクロメート処理の違い
同じクロムという名称が使われていることから、クロムめっきとクロメート処理は同じ技術であると誤解されやすい技術です。
実際、このふたつの処理は目的も処理方法も異なるため、まったくの別ものです。
●クロムめっき
六価、三価クロムともに、製品の表面にクロム(金属クロム)を析出する技術です。耐食性、耐摩耗性、美観などの機能性、装飾性が得られます。用途に応じて、光沢、半光沢、無光沢を選択できます。析出されるクロムの皮膜は無害な金属クロムであるため、RoHS指令の対象外です。
●クロメート処理
クロムの持つ耐食性を活かし、防錆を目的に行われる化成処理です。一般的には亜鉛めっきの表層に処理が行われます。この処理では皮膜中に六価クロム、三価クロムが含まれるため、六価クロムを使用したクロメート処理の場合は、RoHS指令の規制対象となります。
※三価クロムはRoHS指令で制限対象外ですが、製品に他の有害物質(鉛、水銀など)が含まれていれば、全体としてRoHSに適合しない可能性があるため、注意が必要です。
塚田理研の低環境負荷とデザイン性を両立する三価めっきとは
これまで「三価クロムめっきとはどのような技術であるか」についてご紹介しました。
当社、塚田理研はモノづくりを支えるプラスチックめっきメーカーとして、三価クロムめっき、そして加工工程で六価クロム不使用の工程「クロムフリー工法」を提供しております。
●白色(1色)、黒色(3色)を展開
従来技術と遜色のない美しい色合いが特長の白色、そして落ち着いた黒色を3色ご用意しております。
●IPによる色の表現やサテン調めっき、塗装にも対応
IP(イオンプレーティング)による金属の色の表現やサテン調めっきにも対応しているため、デザイン性を要求する製品の加工にも対応しております。更に社内に塗装設備も有しておりますので、塗装にも対応しております。
●クロムフリー工法との組み合わせで、より環境にやさしい加工を実現
プラスチックめっきの場合、エッチング(※)工程にて六価クロムを使用しますが、当社では六価クロムを使わないエッチング工法を開発しており、選択が可能です。三価クロムめっきと組み合わせることで、より一層環境にやさしいモノづくりを実現します。
クロムフリーめっきは自動めっきライン(Eライン)も設備しておりますので、量産にも対応しております。
塚田理研はクロムめっき(3価・6価)に対応!お気軽にご相談ください
三価クロムめっきとはどのような技術であるか、ということについて詳しく解説しました。
三価クロムめっきとは人と環境への影響が少ない技術であり、持続可能な表面処理技術として六価クロムめっきからの切り替えが進んでいます。
当社では、プラスチックへの三価クロムはもちろん、従来技術である六価クロムめっきにも対応しておりますので、各種クロムめっきのご相談を承ります。
難めっき材への加工にも対応しておりますので、お気軽に以下の窓口までご相談ください。
【お問い合わせ先】
本社:0265-82-3256
東京営業所:042-444-1287
刈谷オフィス:050-6868-2912
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