三価クロムめっきの色について解説します
低環境負荷なめっきとして注目を集める「三価クロムめっき」はどのような色なのか、ご存知でしょうか。
三価クロムめっきの色はシルバー色をしており、六価クロムめっきと似た色をしていますが、厳密には機能性や色のニュアンスに違いがあります。
今回のコラムは、三価クロムめっきの色に関する情報(六価クロムめっきとの違い(色や機能))について解説するとともに、当社の三価クロムめっきの色、また高い意匠性を実現する表面処理技術についてご紹介します。
3価クロムめっきと6価クロムめっきの色と機能の違い
クロムめっきには三価クロムを使用した三価クロムめっき、そして六価クロムを使用した六価クロムめっきがあります。
両者とも耐食性や硬度に優れた特長があり、見た目も似ていますが色と機能で若干の違いがあります。
ここでは、それぞれの色味の特徴や機能性の違いについて詳しくご紹介します。
※六価クロムめっきの安全性や、三価クロムめっきの違いについては以下のコラムでも解説しております。六価クロムめっきの詳細につきましてご関心がありましたらご覧ください。
三価クロムめっきと六価クロムめっきの色の違い
六価クロムめっき、三価クロムめっきの色には以下のような色味の違いがあります。
●六価クロムめっきの色
青白いシルバー色をしています。
●三価クロムめっき
六価クロムめっきと比べ、黒みのあるシルバー、または黄みのあるシルバー色をしています。
三価クロムめっきは使用する薬品によって色味が異なるため、メーカーによって色に違いがある場合があります。色合いを重要視する製品の場合には、事前に三価クロムめっきの色を確認をされることをおすすめします。
このように、六価クロムめっきと三価クロムめっきは若干の色の違いがありますが、どちらも美しいシルバー色をしているので、加飾目的としても使われています。
当社、塚田理研は白色、黒色(3種)に対応しており、更にイオンプレーティングによる色合いの表現に対応しております(詳細は後述)。
三価クロムめっきと六価クロムめっきの機能の違い
プラスチックへのめっきの場合、六価クロムと三価クロムのめっきは機能面において大きな違いはありませんが、耐食性においてはやや六価クロムめっきに軍配が上がります。
また、三価クロムめっきはめっきの析出に時間がかかり、厚付けは基本的にできないため、用途は加飾目的に限定されます。
一方で六価クロムめっきは析出速度が速いため、厚付けが可能です。このため、加飾目的だけでなく、耐摩耗性や強度を付与する機能めっきも可能です。
こちらのコラムでも六価クロムめっきと三価クロムめっきの違いについてご紹介しています。是非ご覧ください。
塚田理研は多種多様な色や質感の表現が可能
塚田理研では、三価クロムめっきを用いて多彩な色表現を実現しており、低環境負荷でありながら意匠性の高い製品づくりを可能にしています。
●塚田理研の六価クロムフリーめっきライン
加飾めっきとしての用途では、金属光沢を活かした自然な発色を基本としながらも、更に幅広いカラーバリエーションに対応することが可能です。
ここでは、塚田理研が提供している三価クロムめっきの色のバリエーション、また、表現可能な質感(色調)、その他の表面処理技術についてご紹介いたします。
3価クロムめっきの色展開
当社では、三価クロムめっきの色は白色(1種)と黒色(3種)に対応しております。
●白色三価クロムめっき(1種)
六価クロムめっきと遜色のない、美しいシルバー色が特徴です。光沢感があり、装飾性が求められる製品に適しています。
●黒色三価クロムめっき(3種)
Ti 黒色三価クロムめっき |
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チタンに似た深みのある色調です。 高級感のある黒色が特徴です。高級自動車(内装部品)でご採用いただいております。 |
TB 黒色三価クロムめっき |
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Tiに比べ、やや青みを感じる黒色で、黒でありながらも爽やかさを感じる色味です。 高級スポーツカーの内装に採用頂いております。 |
B3 漆黒色三価クロムめっき |
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3色の中で最も深い色味の黒色です。美しい黒光りが特徴です。 |
質感や色調の表現も可能(サテンめっき)
色合いの他にも、質感・色調の表現も可能です。
通常のめっきは金属光沢が特徴ですが、当社では光沢を抑えた「サテン調」の質感にも対応しています。
サテンめっきは、析出時に微細な凹凸を形成することで、真珠のような柔らかな輝き(TP10)から、マットと光沢のバランスを取ったハーフマットタイプ(TP44)まで、幅広い質感表現が可能です。
また、質感の違いによって色調の印象も変わります。サテンが強いほど落ち着いた色合いに、弱いほど金属らしい明るさが引き立ちます。
質感・色調に関するご相談も承っておりますので、詳細やご要望がありましたらお気軽にお問い合わせください。
イオンプレーティングや塗装で更なる多彩な色の表現も可能
イオンプレーティングによって、より多彩な色の表現も可能です。
鮮やかな青色、ピンクゴールドや黒色など、様々な色の表現が可能ですので、意匠性の高い製品にも適しています。
●イオンプレーティング(青色)
また、当社ではめっき会社としては珍しく、塗装も設備として設けております。(手拭き塗装ブース、塗装ロボットを設備)
更に特殊印刷めっきやアンティーク調の表面処理にも対応しており、幅広いご要望にお応えいたします。
●特殊印刷めっき
●アンティーク調(黒色めっきにブラシで表面を削り、下層を露呈させたもの)
お客様の細かなデザイン要件に応じて、最適な色や技術のご提案が可能です。意匠性に関する課題がありましたらお気軽にご相談ください。
クロメート処理とクロムめっきの違い
クロメート処理とクロムめっきの違いについてもご紹介しましょう。
三価クロムめっきは六価クロムめっきと比較されることの多いめっきですが、クロムめっきという表現からクロメート処理と混同されてしまい、安全性についてご質問いただくことがあります。
クロムめっき(三価クロム、六価クロム)とクロメート処理は全く別の処理となります。
六価クロムめっきは有害物質である六価クロムを用いますが、工程中に金属クロムに還元されるため、最終製品は六価クロムは含有していません。このため有害性はなく、RoHS指令に対応しております。
三価クロムめっきも六価クロムと同様に、金属クロムに還元されるため最終製品に三価クロムは含まれていません。こちらも同様にRoHS指令に対応しています。
一方、クロメート処理は亜鉛めっきの上に防錆を目的に行われる化成処理です。六価クロムが持つ耐食性を活かすことが目的となるため、皮膜に六価クロムを含有します。このため、クロメート処理はRoHS指令非対応となります。
(※現在は三価クロムを使用したクロメート処理もあります。いずれの場合も、プラスチックめっきでは行いません)
三価クロムめっきのカラーに関するご相談は当社まで
三価クロムめっきの色について、ご紹介しました。メーカーによって違いがありますが、当社塚田理研では白色と黒色(3色)に対応しております。またサテンめっきによって質感や色調にニュアンスを出すことも可能です。
ご要望に応じためっきプロセスのご提案も可能ですので、意匠性について課題がありましたら、以下の窓口までお気軽にご相談ください。
【お問い合わせ先】
本社:0265-82-3256
東京営業所:042-444-1287
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