自動車部品のめっき処理で軽量化を実現!めっき加工の役割や種類を解説

自動車部品 めっき処理

自動車部品へのめっき処理の役割とは

自動車には多種多様な部品があり、それぞれの機能や性能を高めるためにめっき処理が行われています。

自動車部品へのめっき処理の代表的な目的として、以下のような機能や効果が挙げられます。

自動車部品 表面処理 加工 イメージ

●防錆
製品を長く使用できるよう、金属を錆から守ります。

●導電性
導電性を付与することで電気系統の安定動作を支えます。

●耐摩耗性
摩耗に強い金属皮膜により、摩耗や摩擦から保護します。

●美観
本物の金属で製品を覆うため、金属ならではの高級感や美しさが得られます。

●樹脂化(軽量化)
自動車部品の樹脂化が進んでおり、金属特性を必要とする部品にはめっきを施します。

今回は、自動車部品へのめっき処理をテーマに、めっき処理の種類や、自動車部品へのめっき処理の動向について、プラスチックめっきの塚田理研がご紹介します。近年加速する自動車部品の樹脂化に関する情報もご紹介していますので、是非ご参考にご覧ください。

めっき処理の種類【自動車部品】

自動車には多くの部品でめっき技術が活用されており、ボルトやナットといった締結部品から、エンジンルームの制御ユニット(ECU)、車内のスイッチやコネクタまで、用途ごとに異なるめっきが使われています。

めっき処理の種類はさまざまで、金属によって皮膜特性が異なるため、部品の材質や用途、使用環境に応じて適切に選ぶことが重要です。

以下では自動車部品でよく使われている、代表的な種類と特徴を紹介します。

※ここでは一般的な種類についてご紹介しています。

クロムめっき

クロムめっきはまるで鏡のような光沢感と高い硬度、耐食性が特徴です。装飾用途の「装飾クロムめっき」と、高い耐久性が特長の「硬質クロムめっき」に大別されます。

車内外装部品に多く使われており、見た目の美しさだけでなく、泥や雨など過酷な環境にさらされても錆びにくい特性を持つため、機能性とデザイン性を両立します。

自動車部品 表面処理 三価クロムめっき

特にエンブレムやグリルといった意匠性の高い部品では欠かせないめっきとして知られています。

従来は有害物質の六価クロムを用いたものが多く使われてきましたが、近年は環境保全の観点から、有害性の低い三価クロムを用いためっき処理への切り替えが進んでいます。

樹脂へのクロムめっき(六価・三価)に関する詳細はこちら>>

無電解ニッケルめっき

無電解ニッケルめっきは薬品による還元反応でニッケル皮膜を析出するめっき処理です。

自動車部品 表面処理 無電解ニッケルめっき

電流を必要としない無電解めっきによって皮膜を形成するため、電気めっきとは異なり、複雑な形状でも均一な膜厚が得られるのが特長です。このため、寸法安定性が求められる自動車部品でよく使われています。

めっき液に浸けることでニッケル皮膜を析出できるので、治具等の活用により効率の良い処理ができる点も大きなメリットといえるでしょう。

無電解ニッケル-リンめっきの場合、リンの含有量によって皮膜特性が異なるので、用途に応じて選択が可能です。

耐摩耗性や耐熱性に優れており、信頼性が要求される電子制御ユニット(ECU)、センサーなどに使われます。また、樹脂めっきの下地としても活用されています。

樹脂への無電解ニッケルめっきとは?めっき処理の詳細はこちら>>

亜鉛めっき、亜鉛合金めっき

製品の表面に亜鉛皮膜を形成し、皮膜が持つ「犠牲防食作用」によって部品を錆から守るめっき処理です。

ボルト、ナットなどの締結部品に広く使われ、コスト面と防錆性能のバランスに優れています。

さらに、亜鉛ニッケルなどの亜鉛合金めっきは耐食性を大幅に向上させ、自動車の長寿命化に貢献します。耐食性を高める目的で、クロムを含む皮膜を形成するクロメート処理と組み合わせる場合もあります。

※当社は亜鉛めっき・亜鉛合金めっき、またクロメート処理に対応しておりません。

銀めっき

銀めっきは導電性が優れ、信頼性の高い電気的接触が求められるコネクタや端子、スイッチなどの電装部品に広く使われています。近年は、EV車の充放電端子や高電圧回路にも採用が進んでおり、電動化に欠かせないめっきの種類となっています。

自動車部品 表面処理 銀めっき イメージ

銀は柔らかい金属ですが、添加剤を用いて硬度を高めた硬質銀めっきも存在し、摺動部など摩擦を受ける部品に用いられ、自動車の信頼性向上に大きく貢献しているめっき処理といえるでしょう。

自動車部品のめっき処理における動向について

自動車産業は世界的に環境問題への対応や軽量化のニーズが高まっており、めっき処理もその流れを受けて進化しています。

自動車部品 表面処理 走行イメージ

かつては性能や品質、コストが重視されていましたが、現在はRoHS指令やREACH規則といった国際的な環境規制への対応や、持続可能性を意識した技術への転換が求められています。さらにEVや自動運転の普及により、新素材へのめっき処理や、環境負荷の少ない工程や技術開発が急務となっています。

ここでは自動車部品へのめっき処理に焦点を当て、近年の動向についてご紹介しましょう。

自動車部品のめっき加工は環境負荷の低い技術の需要が加速

環境負荷の低減は世界共通の課題であり、自動車部品のめっき加工も例外ではありません。

RoHS指令やREACH規則に対応するだけでなく、自主的な取り組みとして六価クロムなどの有害物質を使わない代替技術への移行が進んでいます。
さらにメーカー各社は、排水処理の高度化や電力使用量の削減など独自の工夫を重ね、持続可能なプロセスを模索しています。

環境にやさしい製造プロセスを採用することで、環境保全を実現しながら企業価値の向上や市場競争力の強化にもつながっています。

マグネシウム合金、樹脂へのめっき処理の需要も増加

自動車の軽量化は燃費改善やEV車の走行距離向上につながるため、金属部品を樹脂やマグネシウム合金へ置き換える「軽量化」の動きが加速しています。

美観や機能(耐熱性や導電性、電磁波シールド性、耐摩耗性など)といった金属特性を活かした自動車部品をこれらの素材に変更する場合は、金属特性を加えるためにめっき処理が使われます。

しかし、自動車部品で使われる樹脂はエンプラなどの高機能樹脂であり、マグネシウム合金やアルミは、加工の難易度の高い「難めっき材」であるため、メーカーによって対応の可否が分かれます。また、新しい高機能樹脂が次々と登場しており、それに応じた処理技術の開発も活発に行われています。

今後も素材の変化に合わせて、需要と技術開発は一層進むことが予想されています。

塚田理研は自動車部品へのめっき処理に対応

塚田理研は、自動車部品で使われるエンプラやスーパーエンプラなどの高機能樹脂、またマグネシウム合金などへのめっき処理に対応しています。

自動車部品 表面処理 塚田理研 社屋

金属の美しさを樹脂に与える「加飾めっき」や、樹脂の弱点を補完する「機能めっき」を提供しており、樹脂めっきのトップメーカーとして、多様な自動車部品に高品質なめっき処理を提供し、製品の軽量化と性能向上に貢献してまいりました。

ここでは、当社が提供するめっき処理についてご紹介します。

加飾めっき

加飾めっきは、樹脂製品の表面に金属の光沢感や質感を与えるめっき処理です。樹脂で製品を軽くしながら金属の高級感を付与する技術として、エンブレムやグリル、車内のボタンなど、さまざまな自動車部品でご採用頂いております。

自動車部品 表面処理 加飾めっき

金属感や色の表現のほか、光沢感の調整(サテンめっき)や、メタル感を演出するヘアライン加工などにも対応しており、幅広いニーズに対応が可能です。

また、当社では六価クロムを一切使わない前処理、表層のめっき処理(三価クロムめっき)にも対応しており、低環境負荷なめっき処理の提供も可能です。六価クロム不使用の全自動めっきライン「Eライン」も導入しており、量産にも対応しております。

●Eライン(クロムフリーめっきライン)
自動車部品 めっき処理 クロムフリー

塚田理研の三価クロムめっきの詳細はこちら>>

機能めっき

機能めっきは、電磁波シールド性・放熱性・耐摩耗性といった金属特性を樹脂部品に付与する目的で使われています。金属特性を利用した自動車部品の樹脂化では必要不可欠な技術です。

当社ではさまざまな自動車部品の樹脂化をサポートしてきた多数の実績があります。樹脂化する自動車部品の用途や求める機能に最適な樹脂グレード、めっきのご提案も可能です。

自動車部品の素材変更の場合、多くはエンプラやスーパーエンプラ、マグネシウム合金などの難めっき材が検討されています。メーカーによっては対応の可否が分かれますが、当社では難めっき材へのめっき処理に対応しています。

●自動車部品の樹脂化、めっきのご提案事例
自動車部品 表面処理 提案事例

ご提案の詳細はこちら>>

当社は新しい加工技術の研究に注力しており、専任の技術チームを設けて技術開発を推進しています。お客様のモノづくりを具現化するためのノウハウ、経験、知識を蓄積しておりますので、自動車部品の樹脂化をご検討されていましたら、お気軽にご相談ください。

自動車製品へのめっき加工事例

塚田理研では、豊富な自動車部品の加工実績を持ち、加飾部品から電装部品まで多様な自動車部品のめっき処理に対応してきました。

ここでは当社の加工事例をご紹介します。

●加飾めっき
自動車部品 表面処理 パドルシフト
パドルシフトへの加飾めっき事例です。
金属光沢を与え、高級感のある仕上がりを実現しました。

●機能めっき
自動車部品 表面処理 機能めっき
エンジン部品の軽量化とコスト低減に関するご相談をいただきました。エンジン部品は耐熱性・電磁波シールド性・剛性など厳しい条件が求められるため、当社はスーパーエンプラをご提案いたしました。
複数回の試作を重ねて性能を確認し、量産ラインの立ち上げもスピーディーに対応しました。その結果、お客様から高い評価をいただきました。

詳細はこちら>>

自動車部品へのめっき処理のご相談は当社まで

自動車部品へのめっき処理は、防錆や導通性の確保に加えて、軽量化や環境対応といった社会的な課題にも直結しています。

塚田理研はクロムフリー技術の開発や再生エネルギーの活用、廃液からの資源回収など、持続可能な取り組みを推進しています。

めっき加工のノウハウを活かし、変化する自動車産業を支えるパートナーとして最適な提案を行いますので、樹脂製の自動車部品へのめっき処理で課題がありましたら、お気軽にご相談ください。

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本社:0265-82-3256
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