金属のようなプラスチックで金属代替!メリットやめっきによる機能向上を解説

金属のようなプラスチック エンプラ スーパーエンプラ めっき

金属のようなプラスチックとは?【エンプラ・スーパーエンプラ】

金属のような質感や性能を持つプラスチックが、さまざまな分野で注目を集めています。

自動車、家電、医療機器、産業機械など、これまで金属が主流だった部品を「金属のようなプラスチック」に置き換える「金属代替」の動きが加速しています。

金属のようなプラスチック めっき品

金属のようなプラスチックとは、強度や耐熱性などの機能が高い「高機能樹脂」のことです。これらは主にエンジニアリングプラスチック(以下、エンプラ)やスーパーエンジニアリングプラスチック(以下、スーパーエンプラ)と呼ばれており、汎用プラスチックに比べて強度や耐熱性が高く、幅広い用途で活用されています。

プラスチックの種類は、以下のように耐熱温度によって3つに分類されます。

種類 耐熱温度 主なプラスチック例
汎用プラスチック ~100℃ ABS樹脂、ポリエチレンなど
エンプラ 100~150℃ ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)など
スーパーエンプラ 150℃以上 ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)など

これらの高機能樹脂は、軽量化や環境対応が求められる現代の製造業において、金属代替材料として欠かせない存在になりつつあります。

金属のようなプラスチックを金属代替に採用するメリット

次に、金属のようなプラスチックを採用することで得られる具体的なメリットについてご紹介します。

軽量でありながら高い強度や耐熱性を持つエンプラやスーパーエンプラは、いわば「金属のようなプラスチック」として、さまざまな分野で注目を集めています。特に自動車業界では、燃費改善や軽量化を目的に金属部品の樹脂化が進み、こうした高機能樹脂の需要が一段と高まっています。

金属のようなプラスチック 金属代替 メリット

金属のようなプラスチックを採用する代表的なメリットとして、以下の4点が挙げられます。

  1. 製品の軽量化と性能向上
  2. プラスチック特有の機能(錆びない、耐薬品性・絶縁性など)
  3. 量産性やコスト面での優位性
  4. 塗装レス

以下にて、詳しくご紹介します。

1. 製品の軽量化と性能向上

金属のようなプラスチックを採用する最大のメリットは、軽量化による性能向上です。

同じ形状で比較した場合、樹脂は金属の比重と単純比較すると約1/6と軽く、製品全体の重量を大幅に削減できます。

自動車分野では、車体の軽量化によって燃費効率が高まり、エネルギー消費を抑えた長距離走行が可能になります。また、部品が軽くなることで組み立て作業の効率化にもつながります。

さらに、製品重量の低減は輸送時のコスト削減にも寄与し、結果として環境負荷の低減にも貢献します。

2. プラスチックならではの特性が活かせる(防錆・耐薬品性・絶縁性)

プラスチックは、金属にはない性質を持っています。

●プラスチックの特徴

(1)錆びない
錆びないため、表面処理や防錆対策が不要です。

(2)薬品に耐性がある
薬品に強いため、腐食の心配もありません。

(3)絶縁性に優れている
電気を通さない性質を持っているため、電装系部品の素材に適しています。

これらの特性により、金属で必要だった防錆処理などの工程を省略でき、製造コストを削減し、メンテナンスの負担軽減にもつながります。

3. 量産が容易で、コスト面でも優位

金属製品は、切削やプレス加工、溶接などの加工を行い、形状を作り出すことが一般的です。製品によっては、ひとつ作り上げるのに複数の加工を経て作り出す場合もあります。

一方で、プラスチックは一般的に射出成形や押出成形などによって成形します。複雑な形状の部品も金型を使って一度にたくさんの量を生産できるため、量産にも適しています。

効率の良い生産が可能であること以外にも、複数の工程を必要としないため、コスト面でもメリットがある点も大きな魅力と言えるでしょう。

4. 塗装が不要

金属に色をつけたい場合、塗装などの表面処理が必要となります。
一方で、プラスチックの場合は顔料をプラスチックの原料(ペレット)に着色をつけて成形するため、色の表現が容易である点も大きなメリットとして挙げられます。

また、リサイクル性が良い点も魅力のひとつです。塗装した製品をリサイクルする際、塗装をはがす工程を行う必要があり、コストもかかってしまいます。着色したプラスチックはそのままリサイクルとして活用できるため、環境保全やリサイクル性を重視する分野の製品に適しています。

※ただし、金属のようなプラスチック(エンプラ、スーパーエンプラ)の場合、種類によってはペレット段階での着色が難しい場合があります。

金属代替の際に注意したいポイント

金属のようなプラスチック(高機能樹脂)には多くの利点がありますが、全ての用途の部品を金属代替できるかというと、そうではない場合もあります。

金属のようなプラスチック 金属代替 注意点

樹脂化によって軽量化やコスト削減が期待できる一方で、使用環境・設計・コストなどの観点から、金属代替を検討する際には注意したいことがあります。

用途や環境によっては樹脂化が難しいケースもあるため、ここでは「金属代替を進める際に注意しておきたい代表的なポイント」をご紹介します。

樹脂化によりコストが増すケースもある

材料コストが安価であることも、樹脂化のメリットとして広く知られていますが、金属のようなプラスチックの場合には一概には断定できません。

金属のようなプラスチックの場合は高機能樹脂であるため、種類によっては金属よりも高額となる場合があります。高機能であればあるほど高額になる傾向にありますので、コストを重視する場合には注意が必要です。

ただし、前述の通り、製造コストは下がる可能性もあるため、総合的に判断することが大切です。

金属からの置き換えには図面変更が必要な場合も

金属のようなプラスチックに代替する際、図面変更を行う必要があるケースもあります。

図面変更を行うケースの例
・離型のために抜き勾配を作る
・素材変更によって強度が不足する場合、補強部分を設ける など

また、プラスチックは反りや歪みが出やすい点も注意が必要です。

また、金属のようなプラスチックにめっき処理を行う際は、形状によってはめっきが難しい場合がある点にも注意が必要です。
樹脂化する製品にめっき処理を施す場合には、最適な形状のご提案も可能です。ご相談は当社までお問い合わせください。

めっき技術で金属特性を付加し、樹脂化の可能性を拡大

樹脂化の拡大を支えているのが、金属のような外観や機能をプラスチックに与える「めっき」です。

金属代替を進める際、プラスチック固有の特性(絶縁性や熱伝導の低さなど)が課題になることがあります。
めっきによって金属の特性を付与することで、こうした弱点を補い、機能性を高めることができます。

金属のようなプラスチック金属代替 加工事例

当社、塚田理研はプラスチックめっき技術を提供しており、金属のようなプラスチック(エンプラ、スーパーエンプラ)やCFRP等の複合材、マグネシウム合金などの特殊な素材へのめっきにも対応しています。

金属のようなプラスチックは高機能樹脂であるため、めっき処理が困難な「難めっき材」ですが、当社はさまざまな種類のプラスチックへのめっき技術を開発しておりますので対応可能です。(エンプラへのめっきは国内最大規模の設備を備えています)

エンプラへのめっきの詳細、対応可能なプラスチックについて>>

ここでは、プラスチックめっきによって得られる性能について、当社が提供するめっき技術を交えてご紹介します。

金属光沢による外観品質の向上【加飾めっき】

めっきは本物の金属皮膜で製品を覆う技術であるため、製品には金属光沢が得られます。金属ならではの高級感や重厚感は、塗装には表現しきれない意匠性をもたらします。使用する金属によって色合いが異なる点も大きな魅力です。

金属のようなプラスチック めっき品 金属代替

当社は、意匠性を重視するお客様のご要望にお応えし、多彩な質感・色調を再現できる独自のめっき技術を展開しています。

●サテン色調
金属のようなプラスチック サテン調めっき

光沢感を調整できるめっき技術です。クリアな輝きから、真珠のようなやさしい光沢感まで、幅広い表現が可能です。最外装の仕様を変更することで、さまざまな色調の表現ができます。

●イオンプレーティング(IP)
金属のようなプラスチック イオンプレーティング IP

色調を表現する場合、従来はクロムめっきの上に塗装を施すことが一般的でしたが、用途によっては長期的に外観品質を保つことが難しい課題がありました。この課題に対し、当社はイオンプレーティングによるカラーめっきを提供しています。密着性・強度が向上し、長期にわたり美しい外観品質を保ちます。

色調サンプルはこちら>>

●ヘアライン加工
金属のようなプラスチック ヘアライン加工 めっき

めっき処理後にブラシをかけて仕上げる加工方法です。メタル感が引き立ちます。
最表層に黒色めっきを施し、ヘアライン加工をすることでアンティークのような表現も可能です。

金属のようなプラスチック アンティーク

加飾めっきの詳細はこちら>>

機能めっき(電磁波シールド・導電性・放熱性・耐摩耗性 等)

金属のようなプラスチック(エンプラ・スーパーエンプラ)は高機能樹脂ですが、プラスチックであるため電気を通さず、種類によっては耐候性に劣る場合もあります。

このため、金属特性を活かした部品の場合、そのままの状態では置き換えることはできないため、なんらかの表面処理を行う必要があります。

めっきはそのひとつで、金属のようなプラスチックに、電磁波シールド性・導電性・放熱性・耐摩耗性などの機能を付与します。

たとえば自動車で使われるECUケースは、電磁波ノイズの干渉から製品を守るため、従来は金属製の筐体が使われてきました。この筐体を、金属のようなプラスチックにめっき処理を行ったものと置き換えることで、従来の機能を維持しつつ、軽量化を実現できます。

金属のようなプラスチック ECUケース 加工事例 めっき 金属代替

このようにめっきを活用することで、プラスチックの軽さや成形性と、金属の機能性を併せ持つ部品設計が可能になります。

電装部品やセンサー、モーター周辺部品など、軽量化と信頼性の両立が求められる領域で、多くの実績があります。豊富な経験とノウハウをもとに、用途や機能要求に応じた最適なめっきプロセスをご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。

機能めっきの詳細はこちら>>

金属のようなプラスチックへのめっきは塚田理研にご相談ください

金属のようなプラスチックについて、ご紹介しました。エンプラやスーパーエンプラなどの高機能樹脂は、部品に求められる機能を備えており、金属からの代替が加速しています。

しかし、プラスチックであるがゆえに、金属特性を活かした部品の場合には金属代替が困難となる場合もあります。

このような場合に、金属のようなプラスチックに金属特性を付加する技術としてめっき技術が活用されています。めっきはプラスチック製品に金属の光沢感を与え、弱点を補うことができる表面処理技術です。

塚田理研は、エンプラやスーパーエンプラなどの高機能樹脂へのめっきに対応しており、加飾めっき、機能めっきのご依頼を承っております。樹脂メーカーとの連携もございますので、金属代替をご検討されている段階からのご相談も可能です。

樹脂化や、難めっき材(エンプラ、スーパーエンプラ、マグネシウム合金、CFRPなど)へのめっきのご相談やご依頼は、以下の窓口までお気軽にお問い合わせください。

【お問い合わせ先】
本社:0265-82-3256
東京営業所:042-444-1287
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