カーボンナノファイバーへのめっきについて
カーボンナノファイバーは、軽量でありながら高い強度を持ち、さらに優れた導電性・熱伝導性を備えたナノ素材です。近年では、電子部品や自動車部品、エネルギー関連分野など幅広い分野で研究されており、用途の拡大が期待されています。
新たな応用展開につなげる方法のひとつとして、めっき技術を組み合わせた研究が進められています。めっきとは、素材の表面を金属で覆う技術のことで、導電性や耐摩耗性、耐食性など、金属が持つ機能を付加することができます。
このめっき技術とカーボンナノファイバーを組み合わせることで、ナノファイバー単体では実現できなかった性能を持つ新しい素材や技術が生まれる可能性があります
今回は、カーボンナノファイバーの基本的な知識と、カーボンナノファイバーとめっき技術について、また当社の技術についてご紹介します。モノづくりのご参考として、ぜひご覧ください。
カーボンナノファイバーとは
カーボンナノファイバーは、炭素原子がナノスケールで繊維状に連なった構造を持つカーボン系素材です。軽量でありながら高い強度を持ち、導電性や熱伝導性にも優れています。
大きさはカーボンナノチューブ(CNT)より太く、一般的なカーボンファイバーよりも細いため、中間的な位置づけといえるでしょう。
カーボンナノファイバーの作製方法はいくつかあり、気相成長法や熱分解法のほか、エレクトロスピニング法で作製した繊維を炭素化・黒鉛化する方法などが挙げられます。
用途はカーボンナノチューブに近く、プラスチックや金属に添加するフィラーとして強度や導電性の向上などが期待されています。
めっきの活用で広がるカーボンナノファイバーの可能性
カーボンナノファイバーにめっき技術を組み合わせることで、用途の幅がさらに広がると期待されています。ここでは、現在検討されている主な技術を簡単にご紹介します。
(1)複合めっき
カーボンナノファイバー、特にVGCFをめっき皮膜に添加する複合めっきです。例えば、ニッケルとVGCFを組み合わせた複合めっき皮膜は、従来のニッケルめっきに比べて熱放射率や耐摩耗性が向上することが報告されています。
これは、VGCFの持つ高い熱伝導性や機械的強度が、めっき皮膜全体の性能を高めているためです。
(2)VGCFへのめっき
めっきを施したVGCFをフィラーとして、プラスチックや金属などに複合化する技術も検討されています。めっき処理をしたVGCFは、金属とカーボンの機能を併せ持つ高機能材料として、電子部品や熱対策部材などへの応用が期待されています。
めっき技術を活用することで、カーボンナノファイバーの優れた特性をさらに引き出し、さまざまな分野での活用可能性が広がっています。
塚田理研のVGCFへの無電解めっき技術について
塚田理研では、信州大学と共同でカーボンナノファイバー「VGCF(気相法カーボンファイバー)」への無電解めっき技術を開発しました。
この技術により、VGCFの表面にニッケル皮膜を均一にコーティングすることが可能となり、従来の課題であった界面接合の弱さや分散性の悪さを大幅に改善しました。
●めっき前
●めっき後
処理されたVGCFを添加した複合材は、導電性などの機能が高まるため、電磁波シールド性が要求される携帯電話やノートパソコンなどの筐体部材としての活用が期待できます。
カーボンナノファイバーへのめっきのご相談承ります
高強度・軽量・導電性・熱伝導性といった優れた特性を持つカーボンナノファイバーは、今後のモノづくりにおいて、製品の性能向上や新たな機能の付加に役立つ素材として注目されています。
無電解めっきや複合めっき技術と組み合わせることで、カーボンナノファイバーの特性を最大限に引き出す新たな応用が期待されています。
塚田理研では、信州大学との共同開発によるVGCFへの無電解めっき技術をはじめ、新素材へのめっき試験などのご相談に対応しております。カーボンナノファイバーの活用や、めっき技術に関するご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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