
プリント基板への金メッキが必要な理由
プリント基板への金メッキは、酸化防止、はんだ付け性や美観の向上といった目的で用いられています。
プリント基板への表面処理は、部品の実装において非常に重要です。金メッキを始めとする表面処理が不適切だと、部品を確実に実装できず、製品の不良率の上昇や信頼性の低下につながります。
スマホやパソコン、家電、自動車など、多くの電化製品に欠かせない存在であるプリント基板は近年、微細化が進んでおり、表面処理にも高度な技術と適切な知識が必要です。
ここでは、プリント基板への金メッキの必要性について、詳しく解説します。
酸化しにくく、信頼性が高い
金は周期表のなかでも、化学的に安定した元素であり、空気中での酸化反応がほとんど起こりません。この特性は、プリント基板の長期信頼性を確保するうえで極めて重要な要素です。
プリント基板上の配線は、表面処理を施さない状態では酸化が急速に進行します。たとえば酸化銅は電気抵抗が高く、接触抵抗の増加や導通不良の原因となります。とくに接点部分や端子部分では、わずかな酸化皮膜の形成が電気的特性に大きな影響を与えるため、酸化防止は必須の対策です。
金メッキを施すことで、母材表面を金の皮膜で覆い、酸素や水分との接触を遮断できます。金自体が酸化しないため、保管期間が長い場合や高温多湿環境にさらされる場合でも、表面の状態を安定して維持することが可能です。
このため、医療機器や産業機器など、長期的な動作保証が求められる用途では、金メッキが積極的に採用されています。
はんだ付け性が良く、実装性が安定する
金メッキは優れたはんだ付け性を持ち、実装工程における品質の安定に貢献してくれます。はんだ付け性の良さは、量産時の作業効率の向上や不良率の低減に直結する要素です。
金メッキは酸化皮膜が形成されにくく、表面が平滑であるため、溶融したはんだが表面を連続的に濡れ広がりやすくなります。とくに微細な部品や高密度の実装が求められるプリント基板では、はんだ付け性のわずかな差が実装品質に影響します。
また、金メッキは保管中の経時変化が少ないため、プリント基板の製造から実装までの期間が長い場合でも、はんだ付け性の劣化を最小限に抑えることが可能です。
見た目が良く、製品の印象が上がる
金メッキの美しい外観は、技術的な機能性だけでなく、プリント基板の品質や信頼性を視覚的に伝えることも可能です。これは単なる装飾目的ではなく、品質の見える化として重要な意味を持ちます。
とくに端子部分や露出している部分が金メッキで美しく仕上げられていると、精密さや高品質な製造工程を経ていることが視覚的に伝わります。この印象は、顧客や最終ユーザーに対する製品価値の訴求につながるでしょう。
銅や他の金属では時間の経過とともに変色や曇りが生じることがありますが、金メッキではこうした時間の経過に伴う劣化がほとんど見られないのも特徴です。
プリント基板金メッキと他表面処理の違い
プリント基板の表面処理には、金メッキ以外にも銀メッキ、すずメッキなど、さまざまな選択肢があります。それぞれの表面処理は特性が異なり、メリット、デメリットがあるため、一概にどの方法が優れているというわけではありません。
プリント基板に用いられることの多い表面処理の特性、金メッキとの違いを理解することで、自社の製品に適した方法を見つけやすくなるでしょう。
ここでは、表面処理メーカーとしてプリント基板へのメッキ実績が多数ある塚田理研が、銀メッキとすずメッキの特徴と、金メッキとの違いを解説します。
プリント基板金メッキと銀メッキの違い
銀メッキは、金メッキと並んで導電性や接続性に優れた表面処理ですが、化学的安定性や保管性の面で違いがあります。
銀は金属のなかでも導電率が高く、電気的特性に優れています。はんだ付け性も良好で、実装性の面でも問題ありません。また、金と比較してコストが低いため、コスト重視のプリント基板では有効な選択肢です。
しかし、銀には酸化や硫化による変色が生じやすいという弱点があります。この変色は外観品質の低下だけでなく、接触抵抗の増加にもつながります。
金メッキは銀メッキと比較して酸化や変色の心配がほとんどなく、保管期間が長い製品や高い信頼性が求められる用途では、金メッキが有利です。
使い分けとしては、短期間での実装が前提でコストを抑えたい場合は銀メッキ、長期的な信頼性や安定した品質が必要な場合は金メッキを選択することがおすすめです。
プリント基板金メッキとすずメッキの違い
すずメッキの大きなメリットは、コストの低さです。金や銀と比較して材料費が大幅に安く、大量生産品や民生機器向けのプリント基板では、採用されることが多いです。はんだ付け性も良好で、一般的な実装には十分対応できます。
一方、すずは金と比較して酸化が進行しやすく、長期保管によってはんだ付け性が低下するおそれがあります。また、すず表面には経時変化によってウィスカ(針状結晶)が成長するリスクがあり、高密度の実装や高い信頼性が求められるプリント基板への採用時には注意が必要です。
使い分けとしては、コストを重視し短期間での使用が前提となるプリント基板にはすずメッキ、長期的な動作保証や高い信頼性が求められるプリント基板には金メッキを選ぶことがおすすめです。

プリント基板へ金メッキをおこなう際の注意点
金メッキには多くのメリットがある一方で、設計・製造段階で考慮すべき注意点も存在します。適切な表面処理を選定するためには、メリットだけでなく制約や条件も正しく理解しておく必要があります。
- コスト面での制約
金の価格は高騰が続いており、金メッキを選ぶことで製造コストが大幅に上昇します。コスト重視の量産品では、金メッキの使用範囲を接点部分や端子部分に限定する、極薄膜の金フラッシュを採用するなどの対策を検討する必要があります。
- 下地処理の重要性
金メッキの性能を安定させるうえでは、下地処理も重要です。下地処理が不十分な場合、基材側の影響が金層に及び、接触抵抗の増加や長期信頼性の低下を招くおそれがあります。
- 他の表面処理の検討
金メッキは万能ではなく、用途によっては他の表面処理がより適している場合があります。たとえば、コスト制約が厳しい場合は、すずメッキなどの代替処理を検討する必要があります。
金メッキのメリットと制約を正しく理解し、製品の要件にふさわしい表面処理を選ぶことが、品質とコストのバランスを取るうえでは非常に大切です。

プリント基板への金メッキは塚田理研にご相談ください
プリント基板の表面処理は、製品の信頼性や実装品質に直結する重要な工程です。用途や使用環境、コストなどを総合的に考慮し、最適な表面処理を選びましょう。
塚田理研では、プリント基板への金メッキを始めとする各種表面処理に対応しており、お客様の用途や仕様に応じた最適な処理方法をご提案いたします。
当社が対応可能な金メッキには、無電解ニッケル金メッキ、無電解ニッケルパラジウム金メッキ、電解ニッケル硬質金メッキ、電解ニッケル軟質金メッキなどがあります。また、部分金メッキなど、コストと性能のバランスを考慮した処理も可能です。
プリント基板の表面処理に関するご相談や、金メッキの適用可否についてのお問い合わせは、お気軽に以下フォームよりご連絡ください。技術スタッフが丁寧に対応させていただきます。
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