
表面装飾加工とは
製品の外観品質を高めるために、表面に金属皮膜や塗膜、微細な模様・テクスチャを加える加工技術が「表面装飾加工」です。
表面装飾加工は外観を美しく仕上げるだけでなく、光沢・色味・手触りなどの意匠設計を行うことで、製品の印象やブランド価値を大きく左右する重要な要素となります。
表面装飾加工技術には、多彩なデザインに対応するさまざまな技術があり、めっきもその中のひとつです。
めっきは装飾性だけでなく、耐食性・耐摩耗性・帯電防止などの機能を与えることが可能で、意匠性と機能の両立が求められるさまざまな製品で多く採用されています。

当社、塚田理研は「樹脂へのめっき」に特化したメーカーです。樹脂に金属皮膜を形成することで、金属のような高級感と性能を両立した外観品質を実現します。また、各種表面装飾加工技術を組み合わせることで、お客様が求める「見た目」を実現します。
今回は、当社が提供する表面装飾加工について、以下の技術をご紹介します。
- 加飾めっき
- めっき以外の特殊な表面装飾加工技術
- 装飾性と機能を両立する機能めっき
ぜひ最後までご覧ください。
1. 外観品質を向上する表面装飾加工技術「加飾めっき」
当社では、樹脂を対象としためっき技術を提供しています。
めっきは製品表面を金属皮膜で覆う技術です。本物の金属を使用するため、金属ならではの光沢感や高級感の表現が可能です。樹脂は軽く、めっきを施すことで軽量化を目的とした金属代替が可能となることから、自動車や家電など幅広い製品で活用されています。
めっきに使用する金属の種類によって多彩な色の表現が可能で、塚田理研ではさまざまな種類のめっきに対応しております。

当社は1963年創業以来、樹脂めっきを提供している樹脂めっきのトップメーカーとして、数多くの製品開発を支えてまいりました。長年培ってきたノウハウを基に、高品質かつ多彩な表現を可能とする装飾めっきを提供しております。
以下では、当社が提供する、めっきによる表面装飾加工技術をご紹介します。
1-1. 輝きのニュアンスに変化をつける「サテンめっき」
めっきの光沢感を調整し、輝きのニュアンスに変化をつけられる「サテンめっき」は、多くのデザイナーから高いご評価を頂いている表面装飾加工技術です。

サテンめっきは、光沢の強弱を調整することで、クリアな光沢から真珠のように柔らかく上品な光沢まで、幅広い表現が可能です。サテンの質感は強弱の調整も可能で、「思い描いた通りの光沢感」を再現できます。
中でも、近年デザイナーから支持を集めているのが、サテン感を控えめにした「プラチナサテン」です。ピアノブラックなど高級感ある色のめっきと組み合わせることで、より深みのある上質な印象を演出します。
【サテンめっきのメカニズム】
光沢を抑えるため、めっき工程で特殊な処理を行います。
具体的には、電気ニッケルめっきの際、めっき液にミクロレベルのエマルジョンの粒子を添加し、めっき析出時に微細な凹凸を形成します。
この凹凸によって光の反射が抑えられ、マット感や柔らかな光沢感を表現しています。
1-2. 三価クロムめっき
装飾性の高いめっきの代表格といえばクロムめっきが挙げられます。
従来のクロムめっきでは六価クロムが使われており、環境や作業者への影響が課題とされてきました。
こうした従来技術に代わる「環境配慮型めっき」として注目されているのが「三価クロムめっき」です。
当社では、この三価クロムめっきに対応しており、白色系と黒色系(3色)のカラーバリエーションを展開しています。

前処理工程(エッチング)においてもクロムフリー技術を導入しており、クロムめっきならではの強い光沢感や高い耐食性などの機能を維持しながら、環境負荷の低減を実現しています。
自動車部品(車内外装部品)をはじめ、六価クロムめっきから三価クロムめっきへの切り替えが進んでおり、当社では数多くの加工実績があります。
三価クロムめっきの全自動ライン「Eライン」も備えているため、安定した品質で量産も可能です。難めっき材への処理にも対応可能ですので、環境負荷の少ないクロムめっきをお求めでしたらお気軽に当社までご相談ください。
1-3. ヘアライン、シボ、アンティーク調めっき
めっきに、更なる表面装飾加工技術を加えることで、より多彩な表現が可能となります。
当社では、細やかな線でメタル感を引き立てる「ヘアライン加工」、また金型への加工によって模様を表現する「シボ加工」。そして時を重ねたアンティーク品のような見た目が特徴の当社独自技術「アンティーク調めっき」を提供しています。
●ヘアライン加工

めっき処理後のほか、金型への加工にも対応しているため、量産にも対応可能です。
●シボ加工

薄いめっきにより、模様を活かした表現も可能です。
●アンティーク調めっき

アンティークな風合いを表現しながら、高い耐食性の付与が可能です。
2. 高い意匠性を実現する特殊な表面装飾加工技術
めっきの他にも、さまざまな表現を可能とする表面装飾加工技術をご用意しており、自由度の高い意匠設計を可能とします。
●塗装

当社では、プラスアルファの加飾として塗装にも対応しています。
部分塗装(マスキング塗装)にも対応しているほか、クラシック仕上げ(※)にも対応しています。(※ヘアライン加工やアンティークめっき加工後に行うクリア塗装)
●イオンプレーティング

イオンプレーティング(IP)とは、真空中で基材上に高密着な薄膜を析出させる技術です。硬質で美しい金属色(ゴールド、ピンクゴールド、ブルーなど)を表現できます。
●2色成形めっき

めっきが可能な樹脂、できない樹脂を同一成形した後、めっき可能部にのみ金属皮膜を析出する技術です。高い意匠性で部品が製造できるほか、組立後の異音防止(ギス音)にも効果的です。
●部分めっき(TPマスク工法)

TPマスク工法は、従来のマスキング液の課題(除去の難しさ、素地寸法精度の問題、処理時間の長さなど)を解消し、高品質な部分めっきを実現する独自技術です。
めっき処理中にマスキングをきれいに除去でき、低コスト且つ短納期にて対応が可能です。
装飾性と機能を両立するめっき技術
めっきは表面装飾加工だけでなく、さまざまな金属の特性の付与が可能です。
樹脂は絶縁体であり、熱伝導性や強度は金属に劣ります(※)。しかし、めっきを施すことにより、強度や耐摩耗性、そして導電性や放熱性などの機能を与えることができます。
(※)強度や耐熱性に機能に優れた高機能樹脂(エンプラ、スーパーエンプラなど)もあります。
| 樹脂へのめっきで得られる機能 |
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これより、金属の性質を活かした用途の部品の金属代替も可能となり、樹脂の用途拡大が期待できます。
ここでは、めっきによって得られる代表的な機能をご紹介します。
電磁波シールド性
電磁波ノイズ対策として、これまでは金属が用いられてきました。金属は導電性によって電磁波ノイズを反射・吸収する性質があるためです。
一方、樹脂は絶縁体ですので、電子部品から発生する電磁波ノイズを透過してしまうため、電磁波ノイズ対策(EMC対策)としては不向きな素材とされてきました。
そのため、製品の軽量化が求められている場合にも、電子部品の筐体などの部品においては金属が使われ続けてきました。
しかし、樹脂に無電解銅+無電解ニッケルめっきを施すことで、電磁波ノイズを反射・吸収し、金属と同等レベルのシールド効果を得ることが可能です。これにより、金属からめっきをした樹脂への代替が可能となり、軽量化を実現します。
●ECUケースへの加工事例

静電気対策(制電・帯電防止)
めっきは樹脂製品の静電気対策(制電・帯電防止)としても活用が可能です。
樹脂は帯電しやすい性質を持つため、静電気の発生によって電子部品の誤作動や故障、さらには火災などのトラブルを引き起こす場合があります。そのため、製品によっては静電気対策が重要となります。
樹脂表面に金属皮膜を形成することで導電性を付与でき、表面に発生した静電気を効率的に逃がすことが可能です。
当社では静電気対策を目的としためっきの実績が多数あります。
また、応用した事例として、静電気の抑制により空気抵抗を低減し、オートバイの操作性を向上させた事例もあります。
樹脂製品の表面装飾加工のご相談は塚田理研まで
表面装飾加工について解説しました。
表面装飾加工とは、製品の外観品質を向上する加工のことで、さまざまな手法があります。
当社、塚田理研では樹脂製品の表面装飾加工としてめっきをはじめ、塗装やイオンプレーティングなど多岐にわたる技術を有しており、提供しております。
めっきは表面装飾加工としてだけでなく、さまざまな機能の付与が可能であるため、外観品質と機能の両立を可能とします。当社では自動車やオートバイをはじめ、電子部品から雑貨まで幅広い樹脂製品の表面装飾加工と機能の付与に携わってきました。
樹脂への表面装飾加工、またプラスアルファで機能をお求めでしたら、お気軽に当社までご相談ください。
エンプラやスーパーエンプラなどの難めっき材にも対応しており、量産にも対応しております。
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本社:0265-82-3256
東京営業所:042-444-1287
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