三価クロムめっきは有害性の低い「持続可能なめっき技術」です
環境規制の強化や安全性への意識が高まる中で、製造現場でも「有害な化学物質を使わないモノづくり」への関心が急速に広がっています。
めっきにおいても環境への配慮が求められており、特にクロムめっきに使われてきた「六価クロム」は環境や人体への負荷が大きい有害物質である点が問題視され、多くの分野で代替技術への切り替えが進められています。
代替技術として注目されているのが、有害性の低い三価クロム化合物を用いた「三価クロムめっき」です。
三価クロムめっきは比較的有害性が低く、従来の六価クロムめっきと同等の美観や耐食性を備えていることから「持続可能なめっき技術」として自動車・家電・スポーツ用品など、さまざまな製品で活用されています。
また、環境配慮が重視される製品分野においては、厳しい規制への対応だけでなく、製品のブランド価値や信頼性の向上にもつながります。
三価クロムめっきは環境規制の対象外?
三価クロムめっきは、RoHS指令をはじめとする多くの環境規制の対象外とされています。これは、三価クロム化合物が自然界にも存在する有害性の低い物質であること、さらにめっき処理の工程で有害性の低い金属クロムに還元されるためです。
なお、日本国内の化管法(化学物質排出把握管理促進法)においては、三価クロム化合物は「第一種指定化学物質」に分類されています。このため、一定量以上を取り扱う事業者には、届出や排出量報告の義務があります。
※六価クロムを用いたクロムめっきについても、最終のめっき皮膜は金属クロムとなるため、RoHS指令の対象外となります。
国内においても六価クロムそのものに規制はありますが、めっきへの利用そのものは禁止されていません。
ただし、製品の製造方針によっては六価クロムを使わない技術が求められる場合もあるため、用途や仕様に応じた対応が必要です。
六価クロムめっきはなぜ有害と言われ、代替技術が求められているのか
前述の通り、六価クロムめっきの皮膜は最終的に金属クロムとなり、六価クロムは残留しないとされています。めっき後の製品には六価クロムが残らないため、基本的には有害性(安全性)に問題はないとされています。
しかし、それでも代替技術の導入が求められる理由とは何でしょうか。
代表的な理由として、以下の2点が挙げられます。
- 六価クロムの有害性(作業者や環境への負担)
- 環境問題への意識の高まり
ここでは上記2点の理由について、また、代替技術である三価クロムめっきとの違いについてご紹介しましょう。
1.六価クロムの有害性(作業者や環境への負担)
六価クロムは以下の有害性が指摘されます。
代表的な人体への影響 |
|
環境への影響 | 適切に処理されない場合、水質汚濁や土壌汚染を引き起こす恐れがあり、生態系への悪影響が懸念されています。 |
めっき処理の工程では六価クロムを含む薬品が使用されるため、作業者へのリスクや、大気・排水を通じた環境への影響が懸念されています。
このため、六価クロムを用いためっきラインでは、厳重な管理体制に加え、水質汚濁や大気汚染への対策を講じたクローズドな処理体制が求められているのです。
2.環境問題への意識の高まり
近年は環境保全の意識が高まり、製造工程でも有害物質を使わないモノづくりが求められる傾向にあります。このようなニーズがあるため、代替技術への切り替えが進んでいます。
このような人体や環境へのリスクに加え、意識の変化によって従来のクロムめっきから他技術への変更が進められています。
しかし、六価クロムによるクロムめっきは優れた皮膜特性、コスト面のメリットも大きいことから、現在も厳重な管理の元、一部用途で使われています。
塚田理研では三価クロムめっき、従来技術である六価クロムめっきにも対応しており、作業者の安全を確保し、有害物質を外部へ流出させない設備構成を導入しております。
三価クロムめっきとの違い
三価クロムめっきは六価クロムめっきの代替技術として広く採用されています。
この2種の違いを以下にて簡潔にまとめました。
三価クロムめっき | 六価クロムめっき | |
クロム化合物 | 三価クロム化合物 | 六価クロム化合物 |
人や環境への負担 | 低負荷 | 高負荷 |
色 | 黄み、または黒系のシルバー | 青白いシルバー |
硬度 | ◎ | 〇 |
耐食性 | 〇 | ◎ |
密着性 | ◎ | ◎ |
析出速度 | 遅い | 速い |
厚付け | 不可 | 可 |
コスト | 高 | 低 |
大きな違いとして、めっきで使用するクロム化合物の有害性(人や環境への負担)、また膜厚が挙げられます。三価クロムめっきは厚付けが困難であるため、硬質クロムめっきのような工業用途には不向きであり、一般的に装飾用途で使われています。
三価クロムめっきと六価クロムめっきは共通する部分も多い一方で、違いも多く存在します。導入にあたっては、求める外観、性能、コスト、安全性などの観点から、適切な技術を選定することが重要です。
塚田理研は三価クロムめっき、クロムフリー工法に対応
塚田理研では、プラスチック素材への三価クロムめっきに対応しており、安全性と環境配慮を両立しためっき技術を提供しています。
三価クロムめっきは六価クロムめっきと同程度の耐食性を保ちながら、人体や環境への影響を大幅に低減できる技術です。このため、従来技術の代替として国内外のお客様からも多数お問い合わせをいただいています。
さらに当社では、表層のクロムめっきだけでなく、前処理のエッチング工程においても、六価クロムを使わない技術の提供が可能です。
めっき工程の中から六価クロムを完全に排除した技術により、より厳しい環境規制にも対応できる処理が可能となり、欧州をはじめとする規制の厳しい市場への展開に貢献します。(エンプラやスーパーエンプラなどの高機能樹脂へのめっき加工にも対応しております)
持続可能な表面処理をお求めの際は、ぜひ塚田理研にご相談ください。
低環境負荷のめっき技術のご相談は塚田理研まで
六価クロムの有害性が広く知られるようになり、現在では環境への配慮や作業者の安全性を重視しためっき技術への切り替えが進んでいます。その中で、三価クロムめっきは有害性が低く、持続可能なめっき技術として注目されています。
当社では、三価クロムめっきはもちろん、六価クロムフリー工法にも対応しており、より安全性の高い処理を実現しています。環境対応が求められる製品への表面処理で課題がありましたら、当社にぜひご相談ください。安全性・機能性・意匠性を兼ね備えた最適なめっき技術をご提案いたします。
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